full of love~わが君の声、君の影~
と
コロコロコロ
その親子の方からリンゴが転がってくる
母親らしき女性が追いかけてこちらにくる
俺は足元にきたそれを拾うと追いついてきた女性に渡す
「ありがとうございます、リンゴが勝手に転がり出しちゃって・・」
ふんわりと笑う
柔らかな感じは確かに似ているか?
「あれ?あの子知ってる」
さくらが言いだす
女性の後ろからのっそり男の子が顔を出す
「もしかして同じ学校か?」
俺はさくらに聞く
「えーっと・・たしか今年きた転校生」
男の子が女性の前にずいっと進み出てさくらの顔を見ると小憎らしい声で言った
「あー芸能人の子か」
場が固まる
「な、なんてこと言うの!この子は!」
女性が男の子の頭をひっぱたく
間違いなく母親だ
「スミマセンスミマセン;」
頭を必死で下げてくる
「ほら謝りなさい!」
息子の頭を押さえつける
「いやあ・・」
別に間違ったことは言ってねえしな
俺が言葉につまっていると
「思いだした!しょーこー口のガラスわって校長先生にしかられてた子だ!」
さくら?
男の子の顔がたちまち真っ赤になる
たまらず神が笑いだす
「さっすがさくら!ナイス返しだよ!あはははは」
腹抱えて笑ってやがる
確かにさくら負けてねえっていうか「この男の子誰だっけ?」で頭がいっぱいで先の男の子のセリフ全く聞いてなかったんじゃあ・・
俺も恐縮して言う
「あの・・じゃあ今のでおあいこってことでどうでしょう?」
男の子だけじゃなくその母親までも顔が真っ赤だ