full of love~わが君の声、君の影~
帰り道
最終的には無理やり頭を下げさせられた2人だが
納得はしてないらしく
相変わらずそっぽを向いている
「おとうさん、仕事は?」
「今日は打合せだけだったから・・大丈夫だよ」
「・・・ごめんなさい」
9歳の子どもに仕事の気遣いをさせている
何だか切ない
しばらく沈黙が続く
が
それに耐えきれず俺が口火をきる
「仲直りに夕飯一緒にどうですか?」
「え?」
冬馬母が驚いてこちらを見る
「でも・・」
「ダメだよ!おとうさん!」
さくらがすごい形相でにらんでいる
「冬馬くんのママがちょっとおかあさんより美人だからって鼻のばしすぎ!」
え―――!それって今日子さんに失礼だし、鼻のばすって・・俺をゾウにでもする気か;
「ほら!行くよ!」
さくらは俺の腕をつかんでズンズン早足で歩いていく
俺は仕方なく引っ張られながらも何とか振り向いて
「じゃ、じゃあこれで~失礼しま~す」
とだけ言って別れた