full of love~わが君の声、君の影~

ソファにドカッと体を預ける
その横に今日子さんも座る
『大丈夫?』
「うん、全然平気」
俺は透けた今日子さんの頬に手を添える
「また今日子さんに助けてもらっちゃったなあ・・ありがとう」
ううんと今日子さんは頭を振る

ガチャ!
そこへノックもなしに神が入ってくる
俺はビクッと手を引っ込める
「何だよ・・ノックもなしに・・」
神は怒ったような困ったような顔をしてまっすぐに俺の目の前に来て
「今日子さんがいるのか?」
と聞いてきた
「!」
突然の詰問に何も答えられない俺に神は更に問い詰める
「今日子さんいるんだろ?さっき名前呼んでいたろ?お前の倒れ方不自然すぎる!彼女に助けてもらったんじゃないのか?」
なんて勘のイイ奴;

「何言ってるんだよ・・今日子さんがいるってどういうことだ?お前には何か見えたのか?」
ここは落ち着いてとぼけきらないと
「お前ここ最近独り言多いだろ?表情も全然違う!お前は気づかれてないと思ってるかもしれないけどな!」
神が早口でまくしたてる

「珍しいないつも冷静沈着で現実主義な神島くんが。俺がおかしいのは今に始まった話じゃないだろう」
「確かに俺は霊だのおばけだの信じる性質(たち)じゃねえよ。だけど今目の前で起きたことは明らかにおかしいことだけはわかる!言え吐け正直に言え!」
俺の肩につかみかかる神
「俺にとっては義理の母親でもあるんだぞ!」

その言葉にハッとした
“幽霊でも会いたい”
そう思っていたのは俺だけじゃなかった

言ってしまいたい
けれど

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