full of love~わが君の声、君の影~
『何・・子どもみたいなこと・・;奥さんの私がいいって言ってるんだからつきあえばいいじゃない! 奥さん公認で浮気できるなんてなかなかないわよ♪』
「茶化すなよ!」
『!』
「本心じゃないクセに!強がるなっていったろ?」
今日子さんは強がりからかシリアスな場面になるとすぐに茶化してごまかそうとする
『・・強がりなんかじゃない。本当に本当に幸せになって欲しいの・・』
「今日子さん・・」
“自分の幸せ”なんてモノ
あの時に
今日子さんがいなくなったあの時に
置いてきた
「そんなこと言うなよ・・他の人なんていやだよ・・頼むから・・いてよ・・お願いだから・・そばに・・ずっとおれのそばにいてよ・・」
俺は必至で言葉をつなげる
「もう・・無茶なことお願いしないから・・そのままの姿でかまわないから・・話ができるだけで・・いや、いてくれるだけでかまわないから・・」
風が出てきたのか窓がカタカタと音をたてる
しばらくの沈黙の後
今日子さんがゆっくり口を開く
『・・この間のタクシーでの事故。もうそのまま死んでもいいって思ったでしょ?』
「あ・・・?」
確かに
今日子さんに会えるなら・・・
『それじゃダメなの!あなたは生きてるの。後まだ倍の人生が待ってる』
倍?まだそんなにあるのか
『生きて。言ったでしょ?事故を起こした彼のコト・・自分で命を断とうとするなんて許せないって。 自分で生きようとしない晴喜くんも許せないよ私は』