full of love~わが君の声、君の影~
うつむき何も言えない俺の顔を今日子さんの手がそっと包む
そのまま今日子さんの顔が近付く
唇を重ねる
感じる
ちゃんと今日子さんの唇を感じる
体を抱きしめる
ちゃんと今日子さんの実体を感じる
でも
俺の目から勝手に涙がほろほろとこぼれ落ちる
冷たくも温かくもないそれは
まるで人形を抱いているかのようだった
それはもぎれもなく彼女は死んでいるのだということを
俺にわからせた
今日子さんがさくらや咲ちゃんたちに自分がいることを
教えてはならないと頑なに言ったワケも今わかった
それでも俺は腕に力を込めてぎゅっと抱きしめた
今日子さんがゆっくりと口を開く
『愛してる・・ずっと・・永遠に・・』
『はるき・・』
俺の身体に電気が走る
このカンジ
やっぱり今日子さんの声は特別だ
特別に俺の耳に身体中に響く
代わりなんて誰にもできない
だから俺は忘れない
永遠に 永遠に
この声を忘れない
だから
だから