full of love~わが君の声、君の影~
♪♪♪
俺の携帯が鳴る
(こんな真夜中に・・?)
とっさにさくらの顔が浮かぶ
あわててそれを開くと
《鈴木未歩》
「すずき・・みほ・・?」
横から今日子さんがのぞきこむ
「冬馬くんママじゃない?」
「あ!そうか」
墓地で番号を赤外線交換しっぱなしだった
「もしもし?」
けっこう長く鳴らさせてしまった
<あ!スミマセン!こんな時間に!冬馬が!あの階段から落ちて!それでどうしたらいいかあのスミマセン!私・・!>
階段から落ちた?
「ケガは?出血は?」
<は、はい、私どうしたら・・!>
半泣きでかなり動揺している
「鈴木さん大丈夫ですから落ち着いてください」
<は、はい>
「今から俺行きますから!そこの住所教えてください!」
<え?あ、はい、えっと・・>
俺は今日子さんが差し出してくれたメモ帳に書きとめる
「この電話切ったらすぐに救急車呼んで今言った住所を言うんですよ!」
<はい!>
俺は携帯をたたむと今日子さんを見る
今日子さんはすでに俺のコートを用意してくれていた
『気をつけて』
「うん!ごめん!」
俺はコートをつかむと腕を通しながら階段を駆け降りた
下駄箱の上の車のキーを取るも
酒を飲んでいたことを思い出す
(このマンションなら・・走れば5分で着く!)
俺はスニーカーに足をつっこむとすぐに玄関を飛び出した