full of love~わが君の声、君の影~
今日治療してもらえば終わりじゃない
これからまだ課題は残っている
彼女は独りでその課題に立ち向かわなくてはならないのか?
俺は彼女の膝に置かれたその両のこぶしの上からそっと手をのせた
『鈴木さん!』
看護師が呼ぶ
あわてて手を離す
「あーじゃあ俺はこれで」
『あ!』
「ん?」
『スミマセン!シャツに冬馬の血が・・』
「あーいいですよ、どーせ安もんだし」
『本当にスミマセン・・今度改めてお詫びに伺います・・』
また深く頭をさげる
「いいですよ、そんなこと・・それより」
彼女が頭をあげる
「頼ってくれて嬉しかったです・・また何かあったらいつでも言ってください・・」
そういえば俺はいつも周りに頼りっぱなしだ
さくらにすら頼っている
『鈴木冬馬さんのお母さん!』
また看護師の声がする
『本当にありがとうございました』
彼女はまた頭をさげるとあわてて診察室に向かった