full of love~わが君の声、君の影~
「どうぞ」
1番近い控室を選んで彼女を通す
「悪いけど席はずしてもらっていいかな?」
部屋にいたスタッフ2人に声をかける
速やかに出て行くスタッフ
「ここ、かけて」
入口に1番近いテーブルの角席を勧め
たくさん並んだ手つかずのペットボトルからお茶をとり彼女の前に置く
俺は折りたたみの椅子をひきずって彼女の斜め横に座った
「ごめんねこんな所まで引っ張ってきて。あそこじゃ話にならないからね」
緊張しているのか彼女の顔を見ると頬が赤く上気している
そっとその頬に手の甲でふれてみる
うついむいていた彼女の顔があがる
更に紅潮する
手を離すとできるだけゆっくり話しかける
「冷たいな・・長いこと外で待っていたの?」
「こ、こうするしか思いつかなくて・・おとといは来るの遅くて会えなかったから・・」
「おとといも来たの?」
「は、はい・・昨日は間に合ったんだけど声小さかったのか気づいてもらえなくって・・だから今日はこれまで出したことないってくらいの大きな声出しました!気づいてもらえて良かったです!」
勝ち誇ったようにニッコリ笑う
(3日も待ったのか・・)
思わずこちらもつられて笑みを浮かべる