full of love~わが君の声、君の影~
「そうだったの。ごめんね気がつかなくて。驚いたよ・・どうしたの?」
彼女は肩にかけていたリュックからら1通の封筒を取り出し俺の前にさしだした
「これを田中晴喜さんに渡してください」
「・・お母さんから?」
「違います。私が書きました。母の携帯の番号とメールアドレスです」
「晴喜が君のお母さんと連絡がとれなくなったって騒いでいたのは知ってるけど・・」
つい昨日このライブのリハ前だというのに電話を唐突にかけてきて
唐突に切りやがった;
「母の携帯電話を私が洗濯しちゃってデータが全部消えちゃったんです・・晴喜さん引っ越しとかで連絡とれなくなってしまって」
(なんだそういうことか)
晴喜の慌てっぷリと妄想の暴走っぷりを思い出して笑い出しそうになった
「なのに母は『これも運命かも・・』なんて言って何もしようとしないんです!「え!あきらめちゃうの!?」って聞いても『だって仕方ないじゃない』って言ったんです!
自分の気持ちをなかったことにしようとしているんです!私は絶対2人は好き合っていると思っているんです!なのに・・」
「で、晴喜にこれを渡して欲しいと?」
「はい!」
(彼女もちょっと暴走気味だな・・)
晴喜があんなにしつこく連絡をしているのだから
番号やメアドさせ変えなければ
新しい携帯にした時にいずれ今日子さんも気づくだろう・・
(責任感じちゃったか・・お母さんのこと本当に好きなんだね・・)