full of love~わが君の声、君の影~

「今日はお忙しい所スミマセンでした」
と今度は彼女がドアに手をかける
「ちょっと待って」
俺は自分のバックから携帯を取り出し彼女の前に差し出す
「今日みたいなやり方は後で何言われるかわからないから。用があるときはこれに連絡くれればいいよ」
彼女の大きな目がますます大きく見開かれる
「ええ!いいんですか!」
「いいも何も。一緒にクリスマスした仲じゃない?」
俺はできるだけ笑顔をつくる
「大丈夫。晴喜みたいにしつこくかけたりしないから」
「いえ・・私ならいつでもOKですけど・・」
彼女は照れて下を向く

操作する俺の携帯を見て彼女が小さい声でつぶやいた
「あ・・ないんだ・・」
俺はすぐに何のことかわかったが
「え?何?」
ととぼけた

とドアをノックする音
「すみません神島さん!お願いします!」
俺は短く「はい」とだけ返事すると
「じゃまた後でね」

俺たちはお互いの携帯の背を合わせてからドアを開けた

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