full of love~わが君の声、君の影~
「あら神くん!ありがとう来てくれて!・・悪いけど席はずしてもらっていい?」
新婦部屋には友人らしいおばさ・・もといお姉さんたちで賑やかだった
ドアが閉まる瞬間まで賑やかしい
「この歳でウエディングドレスなんて恥ずかしいのだけど」
「いいえ、とてもよく似合ってますよ」
「ありがとう。お世辞でもうれしいわ」
「俺はお世辞は言いません。それより体調は良いんですか?」
今、今日子さんは妊娠5カ月。少し前までつわりがひどく晴喜までやせそうな勢いだった
「ええ!この間までのことがウソみたいに。いいダイエットになったわ」
元々細いのに更に華奢になっていた
「張り切って肩出したデザインにしたのに、隠さざる得なくなったけどね」
と笑いながら今日子さんは肩のショールをかけ直すと俺を手招きしてもう少し近くに来させた
2人しかいないのに今日子さんは声を低くして
「咲とは会った?」
「ええ」
「キレイになっててビックリしたでしょ?」
「ええ、そうですね」
「咲とはどうなってるの?」
「どうもこうも・・何もないですよ」
「そうなの?結構いい物件だと思うけど?」
「自分の娘、物件って・・;」
「だって初めて会ったときから神島くん咲のことしか見てなかったじゃない」
「?そんなことないですよ」
「そんなことあったって。大丈夫よ咲もあなたのことしか見てないから」
「え?」
それってどういうこと・・?と聞き返そうとしたが
ノックの音が響き、会場のスタッフらしき人が入ってきた
「失礼します。そろそろお時間ですので」
「わかりました。じゃあ神くんまた後でね」