full of love~わが君の声、君の影~

とても良い結婚式だった
終始ガチガチに緊張して舞い上がっている晴喜を今日子さんがなだめる図は可笑しくもあり羨ましくもあった
他人の結婚をみてご愁傷さまと思うことはあっても“羨ましい”などと思ったことはなかった

自分の想いを相手に告げることもできずに苦しんでいるあいつを見ている時からどこかで羨ましいと思っていた
明らかに今まで見たことのないあいつの姿に創作意欲をかられたものだ

あんな風に自分をさしおいても誰かを想えるような恋愛・・俺にもできるのだろうか?
だからこそようやく結ばれた2人を心から祝福したいと思える


披露パーティーは立食とラフな雰囲気もあってか既に2次会のノリだった;
最初はそれでもスピーチやら2人の生い立ちやらでそれらしかったのに
歌や余興が始まると段々くだけてきた

というのも当の新郎が緊張のあまり酒ばかり飲むものだからテンションが高く歌い出したら歌いっぱなししゃべりだしたらしゃべりっぱなし;
周りの男どももつられてテンション上げるものだからすっかりただの宴会
すっかり女子はドン引き;

俺はというと歌の度に引っ張り出されるから仕方がなく付き合い
頃合い見てはひくという繰り返し
そんな調子で2時間はあっという間に過ぎた

本当の2次会に行こうと盛り上がる中
坂上に誘われるも俺は断った

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