full of love~わが君の声、君の影~
出棺前
今日子さんの棺に次々と花が添えられる
結婚式のパーティーで着ていたドレスをまといそれに合わせてきっちりとメイクもされていた
大事故だったというわりにはそれを微塵も感じさせず
むしろそれが今にも起き出しそうだと思わずにいられなかった
泣き声があちらこちらからもれる
なのに彼女はこらえているのかただじっと自分の母の顔を見つめていた
晴喜は相変わらず心ここにあらずだった
彼女は晴喜の娘のさくらを抱き上げ棺の中の今日子さんに話しかけていた
とさくらが隣にうなだれて立っていた晴喜の頭に手を乗せた
途端
うあああああああああああああああああ
晴喜の声だった
堰を切ったように晴喜は棺の中の今日子さんにすがりつき抱きあげ
顔をうずめ大声で泣いた
まるで今彼女の死を知ったかのように
なかなか離れようとしない晴喜に周りが声をかける
葬儀屋が時間を気にしている