full of love~わが君の声、君の影~

「俺、彼女に会いに行く」
「は?」

唐突だ。唐突に神島に宣言した。

彼女の家の場所も住所もわからない。
ただ初めて会ったあの場所・時間なら会えるはずだ。

今日は仕事が早く終わる。
誰かに背中を押してもらいたかった。

神は俺のまじめな声を聞いてどう悟ってくれたかはわからないが
「そっか、まあがんばれ」

予想通りのそっけなさ。でもそれで十分だった。

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