full of love~わが君の声、君の影~
俺は彼女の目の奥が揺らいでいくのを見た
「今日子さんは?今日子さんは俺といたくない?」
彼女が目線をはずす。
「ごまかすのもちゃかすのもなしだから。俺が頬にキスしてから声のトーン上がったトコ聞き逃してないから。俺のこと好きだってことバレバレだから」
「何それ!」
彼女の顔が真っ赤になる。
俺は彼女の肩を再びつかみこちらに向き直させる。
目線もはずさない。
「今日子さんは俺といたい?いたくない?」
また彼女は視線をはずす。
俺はジッと黙って彼女の声に耳を澄ます。
「・・いたいです・・」
「何?聞・こ・え・な・い」
「一緒にいたいです!もうばれてるならいいでしょ!勘弁してよ・・」
やった言わせた。
俺は思いっきり抱きしめた。
すっぽり腕におさまった彼女はホントに小さくて温かくて子犬を抱いているかのよう。
腕の中の彼女がつぶやく。
「なんでこんな子持ちの40女なんか・・」
「うん確かに。」
「・・ええ!?」
「確かに今日子さんみたいなタイプ今まで俺の中になかったよ・・けどそれは会ったことなかったから知らなかっただけで。もう知っちゃったからには仕方がない」
「仕方がないって;」
更に腕に力をこめて彼女の肩に顔をうずめる。
「気がついたら今日子さんの声しか聞こえなくなってたんだ・・」