12番目の部屋
三、君が生きていければそれでいい

「……花池、時間がない」

「……っえ」

「最後に俺の話を聞いてほしい」

ーーどういうこと。最後って?

「やっぱりさっき俺が言ってた通り、信じられないかもしれないけど、ここはあの本と同じだ。だとすれば、残りの一人になるまで解放されない。俺は花池に生き残ってほしい。絶対に。だから、絶対生きて元の生活に戻るんだ。いいね?」

頭が真っ白になった。

ーー何を言ってるの、春木君。
嫌だよ、一緒にここをでようよ。

「……嫌。春木君も一緒に」

「駄目なんだ。それはできない。」

栞の反応にややかぶり気味に返答する大地はどこか寂しそうにみえる。

「どうして!??ここが本と全く同じだなんて、そうじゃないかもしれないじゃない」

「花池、お前も見てきただろ?死者がでても俺達はここを出られなかった。結局最後まできてしまったんだよ」

栞はやけに冷静な大地がこわかった。

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