12番目の部屋

大地は机の前に立っていた。
二つの錠剤を手にして。

「やめて!!!」

部屋いっぱいに栞の声が響く。



「花池、生きろ」

静かに放った言葉を最後に大地は二つの錠剤を一気に飲み込む。

一度微笑んだ顔から笑顔が消え、顔が真っ青になっていく。
呻き声をあげながら床に倒れ込んで、苦しさのあまり激しく転がり回る。

口から大量の血を吐いて大地は動きを止めた。


「春木君!!!」

大地に近寄りそのまま崩れ落ちる。
全身の震えが止まらない。

涙が大地の顔に落ちていく。

赤黒い血で染まった大地の顔は苦しさから解放され綺麗な顔に戻っていた。

ーーばか。なんでひとりにさせるの。
春木君!


名前を何度読んでも彼は起きあがることはなかった。

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