12番目の部屋

「だめ!!!山浦君やめて!!!」

栞は二人に駆け寄り止めようとするが、
呆気なく嘉夏に思い切り突き飛ばされた。

「きゃぁっ!」

ふわりと体が宙に浮いたかと思えば今度は物凄い衝撃が体を襲う。

「……痛っ」

どうやら思い切り頭を机にぶつけたようだ。
体中に痛みが走り動けない。

「花池!!!」

意識が朦朧とする中、呼吸を乱しながらも叫ぶ大地の声が聞こえる。

「……うっ、うぅ……嘉夏っ!!!」

ドカッと鈍い音とともに今度は嘉夏が倒れ込む。

「お前っ、……花池には、手ェだすなって……言ったろ!」

大地は何度も嘉夏の顔を殴る。

「ぅっ……っ痛」

「俺はっ…俺だって…、死にたくねぇよ…。こんなとこで…、死にたくねぇよ…」

血まみれの顔で訴える嘉夏にはもう殴り返せるほどの力は残ってない。

「止めてっ、春木君!死んじゃうよ!!!」

痛みをこらえながら栞は叫ぶ。
それでも大地は殴る手を止めない。
一筋の涙を流しながら、苦しそうな顔で嘉夏を殴り続ける。

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