ブランコ。
01 先輩
エスカレーターを昇っていくと、見覚えのある華奢な背中が見えた。
今日は会社のボウリング大会。
僕は近所のボウリング場へと来ていた。
肩甲骨の辺りまで伸びた、キラキラ光る髪の毛を見ながら「こんにちは」と声を掛ける。
赤いサマーセーターの袖口から伸びる、柔らかそうな白くて細い腕が眩しい。
ゆっくりとこちらを振り向くと、キレイな白い歯を見せて笑いかけてくれる。
昔のアイドルのようにくっきりと頬に浮んだエクボが、彼女をかわいく、そして年齢よりも幼く見せているのかもしれない。
彼女は『森田千秋』
僕のひとつ上の先輩だ。