ブランコ。
「それで、歯ブラシの件があって、わたしの中でどうしてもその二つが繋がっちゃって・・・。
証拠も何もないのに、疑っちゃダメって思うんだけど、そう思えば思うほど気持ち悪くなっちゃって・・・」

「そうか・・・」

「でも、本当に証拠もないし、そんな素振りもないの」

「ふ〜ん・・・」

「高梨くん・・・変なこと考えてない?」

「いや、変なこと考えないようにしてるだけ」

「なんで、こっちを見ないの?」

「いや、変なこと考えないようにしてるだけ」

「なんか、話しづらいよ。
こっち向かない?」

「いや、そっち向いたほうが話しにくい」

「変なの・・・」

話が途切れると、虫の声が強くなったように感じた。

ふと、視界の隅で、エリの白いブラウスが揺れるのが見えた。

座る位置を変えたのだろう。

僕は一回リエの方を向くと、また元の場所にあわてて顔を戻した。
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