ブランコ。
僕は苦笑いするしかなかった。

いい案だと思ったのだが、こうもあっさり拒否されると、ただ脱力するしかなかった。



でも、確かによく考えてみれば、擬似恋人を宣言したとして、山岸が必ずしも引き下がるという確証はないし、会社内のリエのファンに対する対応も考えていなかった。

他人に干渉しない分、他人にも干渉されたくないと願うのに、リエといるとどうも調子が狂う。



「帰ろうか?」

「うん」

やっとリエの方を向くことができた。

今度からは対面に座らせないようにしなくてはならない。

いや、体面に座るのが悪いのではない。

こちらを向いて、足を「八」の字に開かせないようにしないといけない。

そうしないと、目のやり場に困って、話どころではなくなる。
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