ブランコ。
16 涙
「ねえ、ねえ、高梨君、見て、見てぇ〜」



昼休み。

先輩が旅行雑誌を持って、パタパタと子供のように僕の席へ走ってくる。

僕は読んでいた文庫本にしおりを挟むと、先輩のほうを向いた。



電話を切られてしまってから、初めて話すことになる。

だけど、以前と変わらずニコニコと笑いながら、僕の席へとやって来た。
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