ブランコ。
ボウリング場から左折し、国道へと車を進める。
ここから中華料理屋までは、今日であれば十分くらいの距離だ。
土曜の昼下がり、車は多いようにもたいしたことないようにも感じる。
次々と追い越していく先輩社員たちの車を見ながら、僕はゆっくりとアクセルを踏む。
こういう時、一番遅くに到着して、空いている席に腰を落ち着けるのが一番無難だということを、僕は三年の会社員生活で見につけていた。
本当は、一番若手の僕が真っ先に到着し、場所の確保と、これから来る人数の覚悟を店側にさせるべきなのかもしれない。
だけど、今日は会社の行事とはいえプライベートだ。
休日まで先輩社員たちのために何かをするということが、僕にはすごくムダなように思えた。
まあ、そういうことが出来るのなら、僕も出世できるのかもしれない。