ブランコ。
「そ、そうですか・・・。で、その・・・一緒に歩いたりしても・・・」

『恥ずかしくないですか?』

本当はそう聞きたかった。でも、僕がその単語を使う前に先輩は、

「デートしよー!」

と、さっき食堂に誘ったときに見せてくれた笑顔でそう言った。

耳まで真っ赤にしながらそう言ってくれた。



細い顎、光る産毛を持つうなじ、スッと通った鼻、真っ白な手、小さな耳たぶ、細い首。

先輩はすべてをピンク色に染めて、そう僕だけの目を見て言ってくれた。

僕は情けないことに、先輩に見とれてしまって何も言葉が返せなかった。

ただ、ひたすら、馬鹿みたいに何度も何度も首を縦に振ることしか出来なかった。
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