ブランコ。
中華料理屋につくとやはり席は埋まっていて、先輩を中心としたグループが出来上がっていた。
隣の空席は美穂さんのために確保されているに違いない。
先輩は居心地が悪かったのか、美穂さんの顔を見るなり、「美穂〜ここ〜」と、間延びした声で呼びかけた。
その声に回りの男性社員たちはうっとりと聞き惚れている。
美穂さんはにっこりと笑顔で手を振りながら、「ごめ〜ん!私、この席がいいの!」と、一番端の席にさっさと座ってしまった。
「じゃあ、高梨君、ここね〜」
先輩は無邪気にそう言い放つ。
先輩は気づいていないが、男性社員たちの視線はグサグサと僕に突き刺さった。
当然、この日は中華なんて味わうどころではなかった。