ブランコ。
「いえ、残業中に携帯電話なんて触ってるほうが悪いですから」

「まあ、たまにだったらいいんじゃない?」

小川課長はいつもこんな風だった。

モラルというか、そういう規律みたいなものには厳しくなく、そのせいなのか、いつもカッターシャツがズボンからはみ出していた。

「はあ、すみません」

「で、今日は残業?」

「はい。今年までは売上が良いという見通しが立っていますので、この際、今のうちに減価償却が終わってゴミ同然になっている固定資産を除却出来ないかと思いまして・・・資料を集めているところです」
< 153 / 260 >

この作品をシェア

pagetop