ブランコ。
十分も経った頃だろうか、トイレの入り口のドアが動く気配がする。

比較的新しいビルのドアだから、音なんかはしないが、気密の高いトイレは空気の動きで分かる。



僕は息をひそめ、じっと聞き耳を立てる。

思ったより早かったが、早く解決するに越したことは無い。

それとも、まだ女性が残っていたのだろうか?

いずれにしろ、掃除道具入れに用事があるやつなんてそうそういない。

僕自身、掃除道具入れなんてこれまで開けたことなんかなかった。

ここは委託業者の掃除道具入れだからだ。
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