ブランコ。
僕は一瞬、何が起きたかわからなかった。

まさか、この場所に来るなんて思ってもみなかった。

迂闊だった。

何か護身用のモノを持って来るべきだった。

今さら後悔しても遅い。
僕は柄の長いホウキを手探りで探そうと思ったが、手は空を切るばかりで何も見つからない。

そうだ、さっき掃除道具はすべて奥に追いやったんだ。

懐中電灯が頭をよぎったが、しゃがむ姿勢をとることはなぜだかすごく嫌だった。

マズイ・・・。

僕には全力でぶつかっていくことしか残されていない。

この貧弱な体でどこまで抵抗できるだろうか?

考えてるヒマはない。

相手が顔を出した瞬間が勝負だ。
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