ブランコ。
ちょうど僕らがお互いの密着した部分を意識しだして無言になった時だった。

『ブンッ!』という、空気の振動が伝わる。

僕の肩に置いてあるリエの手が、僕の肩をギュッと掴み、小刻みに震えだしたのが分かった。

恐いはずだ。

自分をこれまで苦しめ、悪寒すら感じていた相手がそこにいて、今にも自分の歯ブラシに何かしようとしているのかもしれない。

場合によっては危害を加えられていたかも知れない。

そういう相手がそこにいるのかもしれないのだ。


だからこそ、僕はリエがこの場に来ることを拒んでいたし、この場に来たことを驚いてもいた。
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