ブランコ。
小川課長は常に片桐さんと比べられていた。

片桐さんよりランクの高い大学を卒業し、ふたりは同期で入社した。

『主任』『係長』と小川課長の方が何年も早く出世した。

もちろん、課長にも。



いつも敵視していた。

常に彼の上にありつづけようとした。

だけど、片桐さんには周りの部下がついていき、自分にはただ従っているだけだった。

どれだけ役職だけは勝っていても、周りの反応など歴然とした差があった。



飴と鞭。

古くから使われてる方法だけでなく、新しい自己啓発の本やいろんなセミナーに参加してみた。

身なりも整えてみた。
口調もくだけた感じにしてみた。

だけど、誰もついて来てくれなかった。



そうこうしているうちに片桐さんは、なぜか会社を辞めてしまった。
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