ブランコ。

「おいっ! 今、思ったこと口に出してみろ!」


美穂さんは僕に会うなりそう言った。


「いや、特に何も……」


美穂さんの彼氏は、年齢である二十五歳よりも十歳は歳をとっているように思えた。


頭はかなりの面積の休耕田が広がり、その減反政策のせいか、お腹のあたりではかなりの過剰供給が起こっているようだった。


(ハンバーガーおいしいよ〜)


「おい、今、何か言っただろ!」


「いえ、別に……」


田村さんはにこにこ、にこにこ笑ってる。


笑いながら、ひっきりなしに吹き出る汗をハンカチで拭いている。


決してバカにしているわけではなく、なんとなく、ただ田村さんの仕草や話すのを見ているだけでおもしろかった。


なんだか、昔、子供のころに見ていた『ポパイ』に出てくる、『ウィンピー』にみたいだった。


声までもそっくりだった。


「ムフウ、みんな〜おなじかいしゃなんだね〜」
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