ブランコ。
「お先に失礼します」


正午のチャイムが鳴る。


食事に行こうと席を立つ、同じ課の先輩たちに挨拶する。


僕は机の上の書類やファイルなどを無造作に机の引き出しに投げ入れながら、手早く帰る支度を整えた。


自分のデスクで愛妻弁当を広げる課長に挨拶し、タイムカード兼社員証をタイムレコーダーに通し、出入り口のドアを開けたときだった。


「よう……」


「チッ……」


僕は声の主に気づかれないように舌打ちした。


山岸だ。


心なしか元気が無いように見える。


今日のリエとのデートはどうなったのだろうか?
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