ブランコ。
「お前……境さんと連絡取れないか?」


「どういう意味です?」


僕は『お前』と呼ばれたことに一瞬反応したが、ぐっと飲み込んで聞いた。


「いや、昨日から電話してるんだが……繋がらないんだ」


「そうなんですか」


「で、何か知らないか?」


「何を?」


「何をって……。人が頭下げてるのに、何だそれは!」


「何だそれは……と、あなたに言われる筋合いはないし、怒鳴られる意味が分からない。ついでに言うと『お前』呼ばわりされる理由も全然見つからない。あなたは僕の先輩でもないし、上司でもない。答える義務があるのかもわからない」


「…………」


「で、何を?」


「…………」


「じゃあ、僕はこれから用事があるんで」


「…………」
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