ブランコ。
『買い物は大谷町商店街で!』の看板がある駐車場に車を止める。


駐車場の出入り口にある小さな建物の中のおじいさんが、怪訝そうな顔で僕を見ている。


「どちらに買い物かね?」


少し掠れて、不明瞭な声で僕に問い掛ける。


きっと、商店街以外のお客が多いのだろう。


おじいさんはそのせいか、それとも夏の暑さのせいか、うんざりした顔をしていた。


「えっと……」


僕は雑貨屋の名前を忘れていた。


おぼろげに覚えていた雑貨屋の場所を言うと、おじいさんは黙って頷いた。


行っていいということだろう。


僕はおじいさんに小さく頷き返すと、商店街のアケードをくぐった。
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