ブランコ。
僕は中身のわからない箱にお金を払う。


一抹の不安がないわけではないが、なんとなくおばあさんのニカニカした顔を見ていると、騙されてる気はしなかった。


もし、騙されていたとしても、このおばあさんだったらリエも許してくれるような気がしていた。


「ちょっと待ちな」


店を出て行こうとする僕を、おばあさんは呼び止める。


そうしておいて、再び居住スペースの中へ入るとしばらくごそごそしていたが、今度は本当に新聞紙の包みを持ってきた。


「これ、何ですか?」


「タッパーだよ」


「タッパーというと、あの料理とかを入れるタッパーですか?」


「そう」


「はあ……」


「それをあの子に渡しといてくれ」


「境にですか?」


「どうせ、今から会うんだろ?」
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