ブランコ。
「すいません。高梨と言いますけど……」


インターフォンに向かって僕はそう告げた。


リエの家。


僕は彼氏でもないのに、この家に何度も訪れている。


冷静に考えてみると、そんな僕はリエの家族にはどう映っているのだろうか?


「はーい。ちょっと待ってね」


こんな平日の昼間に訪れた僕を躊躇せずに迎え入れたということは、リエから僕が来訪することは伝わっているのだろう。


つまり、絶対に会いたくないということだろう。





玄関のドアが開き、いろんな部分がリエによく似たお母さんが現れる。


何十年後かのリエも、こうして誰かのお母さんになっているんだろう。


そして、誰かの愛する奥さんにも。
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