ブランコ。

「美穂がさ〜黒い浴衣欲しいって言うんだよ〜」


ウインピーがケチャップを口の端につけながらそう言った。


手には、今日一体何本目になるのかわからないホットドッグが握られている。


「さすがにさ〜黒い浴衣ってのは喪服っぽいな〜って」


確かにそれは喪服っぽい。


なにも爽やかな浴衣まで黒を求めないでいいものを。


そんな美穂さんは藍染めの浴衣を着ていた。


いつも黒づくめだから確かに最初は違和感があったが、それは僕が見慣れてないというだけで、キリっとした顔の美穂さんには藍染めの浴衣と赤い帯はすごく似合っていた。


「すごく似合ってますよ。別人かと」


「な〜？　似合ってるだろ？」


「う、うるさい！　見るな！」


僕とウインピーは顔を見合わせて笑った。