ブランコ。
29 ポイント
「どこにいるの……?」


泣き出しそうな先輩の声を聞く。


僕は電話をしていた旨を告げ、先輩たちが今いる場所を尋ねる。


きっと何度も電話してくれたんだろう。





「大丈夫なの……?」


大丈夫というより、気にするようなことではないと伝える。


ただ、話の内容と話した相手については黙っていた。





「すぐ……来れるの……?」


先輩たちが待っていてくれているはずの、目印にした屋台を見つけたことを告げる。


だが、花火が始まったせいだろう、上を見上げてその場に立ち止まる人や、いい見物場所を探すことを諦めて歩道の縁に座りだした人などのせいで、僕の歩みは遅々として進まなかった。
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