ブランコ。
「ねえ、ちょっと聞いてるの!」


「ええ、聞いてます。すみません」


「……まあ、いいわ。それで私はこう言ったの……」


(「アンタ程度の男なんていくらでもいるんだから!」だろ。アンタ程度の女もな)


幾度も繰り返され、聞くたびにどんどんドラマティックになっていく話に、いいかげん飽き飽きしていた。


僕は飲めない酒が入ったグラスの縁を舐めながら、今では惰性になってしまった首振り運動を続けていた。


うん、うん、と。
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