ブランコ。
「高梨くん……気分悪い……」


リエがそう言いながら、突然むくりと起き上がった。


飲みすぎたのだろうか?


それほど飲んでいたようには思えなかったのだが。


仕方がない。


トイレで吐かせるか。


僕は脇に手を入れて抱え起こすと、先に通路に出て待っていた。


ちらりと元いた席を見ると、短大卒が不満そうな顔でこちらを見ている。





フラフラとした足取りで僕に近づくリエ。


僕は歩けるならと、リエの靴を探して揃えようと座敷を背にして通路にしゃがんだ。


その時、僕の耳元で「おんぶ」と言って、いきなりリエは背中に飛び乗ってきた。


「なっ! ……」


驚いた僕が反論する間もなく、リエは再び僕の耳元で囁いた。


「逃げるぞ」
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