ブランコ。
「でも、こうやって人が少なくて、ゆっくり見れるツリーっていいね」
「そうだな」
「私ね、花火も一人で見れる場所知ってるんだよ」
「へえ」
「教えてあげないんだから!」
「ああ、いいよ。花火苦手だし」
「聞けよ」
リエが笑いながらそう言う。
僕も悪ふざけして続けた。
「いやだ。聞いたからには連れて行けって言うだろ? だからいい」
「聞け」
「いや、いい」
「耳貸せ」
「いや、貸さない」
僕らはしばらく、このくだらないやり取りを続けた。
その内僕が根負けして、いつものように聞くことになるのはわかっている。