ブランコ。
パスタ屋のドアを開けると、セミの鳴き声と共に、また真白な世界が帰ってきた。
僕は殺意を持っているとしか思えない太陽の光を浴びながら、このまま行けば、九州の人間が六十歳の時には、全員、皮膚ガンだなと考えていた。
夏の暑さは嫌いではない。
だけど少しずつ大人になるにつれ、汗をかくような場面に遭遇しなくなるにつれ、夏の居心地が悪くなった。
まあ、冬は冬で、もっともらしく嫌いな理由を並べながら、ヒーターを抱きしめているとは思うのだが。