ブランコ。
そう言う僕を先輩はニコニコ笑いながら見ている。
それにしても、想いのこもっていない『愛』という単語はどうしてこうも簡単に吐けるのだろう。
嘘でもいいからこの単語を囁くことが出来るような性格ならば、以前つきあっていた女の子のことをもっと喜ばせることも出来たし、傷つけることもなかっただろう。
ましてや、捨て台詞を浴びて別れることもなかったのかもしれない。
と、終わったばかりの僕のショボイ恋愛について一人反省しながら、僕はブツブツと呟きながら自分のボックスへと向かった。
シューズを履き、使うボールを探そうと振り向くと、後のテーブル席に先輩とその友達が座っている。
本当は自分の所属している課を応援するべきなのだが、以前先輩が、「いい人達なんだけど……やっぱり世代間のギャップってのがね……」と言っていたことを思い出して僕は何も言わなかった。
きっとオッサンばかりで面白くなかったんだろう。