ブランコ。
07 山岸
僕はリエに何が起きているかわからず、とりあえずリエの視線の先を追った。
リエの見ているところ、つまり運転席側の向こう側だ。
僕は体ごと、そちらの窓の向こうを見た。
僕の視線の先には男が歩いてくるのが見える。
僕には誰だかわからなかったが、その男の頭が微動だにしないことと、こちらへ真っ直ぐに歩いてくるその歩様で、相手が僕らを認識している事がわかった。
一見して、あれほどの表情をリエが浮かべるほどの人物には思えなかったのだが、僕は相手がわかるまで、じっとその男を凝視した。