ブランコ。
「山岸さんは何を?」
僕はこの駐車場が、ゲームセンターとパスタ屋で共有していることを知ってて、わざと聞いてみた。
きっと母親の作った焼きそばでも食ってから出て来たに違いない。
歯には青海苔がついていた。
山岸は必要以上に額に汗をかきながら、「も、もちろん、スパゲッティーさ」と言った。
「ああ、パスタですね。今日はナスとひき肉ってのがオススメでしたよ」
「あ、ああ、パ、パスタな。パスタ……」
「ドリンク券あげますよ」
「あ、ああ、す、すまんな……」
ドリンク券を渡す。
ちょっと男にしては細くて白すぎる指を小刻みに震わせながら、山岸は財布にドリンク券を収めた。
ちゃんと期限は切れている。