ブランコ。
ドリンク券を収めた場所には『麻雀格闘クラブ2』のカードがささっていた。
あちこちのゲームセンターをインターネット回線で接続し、離れた場所の相手と麻雀のゲームを対戦できるようにするためのカードだ。
そのカードに自分の持ち点や、戦歴、順位などが記録されるようになっている。
つまり山岸は、日曜の昼いっぱいをかけて、麻雀ゲームを楽しもうと思っていたわけだ。
別に日曜の昼いっぱいをゲームセンターに費やしてもいい。
パチンコ屋に開店から閉店まで居続ける人がいるくらいだ。
別に人の趣味にとやかく口を挟むつもりはない。
ただ、人のことを値踏みしたように見たり、歯にモノの挟まったような言い方に、少しだけ腹が立っただけだ。
山岸が僕のことを蔑み、嘲笑の対象にしたがっているのは前々から気づいていた。
だけど、そんなものに付き合ってやるほどヒマではないし、それほど善人でもない。
まあ、正直なところ、山岸が僕にしてくることは些細なことであったし、今まではあまり気にしたこともなかった。
だけど、山岸の言った、
『オマエもいろいろと忙しいんだな』
『……それで、今度は境さんか?』
という言葉だけが引っかかっていた。
山岸は何をもって、僕にそう言ったのだろう?
そして、何故僕は、山岸にこれほどまで嫌われているのだろう?