ブランコ。
車へ戻る。
リエが話したければ話せばいいし、話したくなければ話さなくていい。
僕はそう伝える。
人との関わりを深く持ちたくない、人に自分の領域に踏み込んで欲しくない。
だから、いつのころからか人を観察する癖がついてしまった。
観察することによって、相手の望んでいること、触れてほしくないこと、そういうことを素早く察知し、目立たないようにするためだ。
だから、必要以上に厄介ごとを抱え込みたくないし、出来ればこの場も、塞いでいいのなら、耳を塞いでいたかった。
リエはジュースの呑口を唇に当てたまま、しばらく考えているようだったが、ふっと肩を小さく上下させて息を吐き出し、少しずつ話し始めた。