ブランコ。
「こんにちは〜森田です」
受話器を通して、先輩の声が柔らかく響いてくる。
僕も「こんにちは」と返しながら、何の気なしにリエの方を見た。
リエはサイドブレーキに手をかけて、僕の顎に額がつかんばかりにして、聞き耳を立てていた。
僕はリエの頭を手でグリグリと助手席の方に押しやりながら先輩との通話を続ける。
リエも「う〜ん」と唸りながら、頭をグリグリさせてこっちに押し返す。
僕はつむじを押す。
リエは頭に手を添えて僕の手を押し返す。