ブランコ。
11 青い月
「もしもし……」
「ああ、なんだ、いたんだ」
「風呂入ってました」
「長かったのね」
「すみません……(いや、十五分くらいだと思うんだけど……)」
「まあ、いいわ。ところで、高梨君。来週の土曜日はヒマ?」
「ヒマです」
僕はカレンダーを見ることもなくそう答える。
「また、即答ね」
美穂さんはクスりと笑いながら話す。
「ええ、基本的に引篭もりですから」
「そうなの。じゃあ、わたしとデートしない?」
「ダメです」
「どうして? 高梨君はリエちゃん以外とはデートしないの?」
「はい。というか、境とデートなんかしません。飯食ったりするだけです」
「それをデートと世間一般的に言うのでは?」
「そうかもしれません。でも、僕の中であれは、厳密にはデートの範疇ではありません」
「範疇ではありません……か」