ブランコ。
僕も喉が渇いた。
タバコの火を灰皿に押し付け、冷蔵庫へと向かう。
「それでは……。今までの話をまとめると、彼氏がいない同僚であれば、ご飯を食べに行くということよね?」
「はい……」
「だったら、どうして千秋の誘いを断ったの? あの子には彼氏はいないし、会社の先輩でしょ? 君が言う条件を全部クリアしてるんじゃない? それとも他に何か理由でもあるの?」
もっともだ。
僕は自分でも矛盾したことを言っていると思う。
だけど、僕が先輩と一対一で会えない理由なんか、あまりにもちっぽけ過ぎるし、美穂さんに言っても、とうてい理解してもらえないと思った。
だけど、ちっぽけであったとしても、僕はそれを守るべきなんだと、この時は思った。
そして、冷蔵庫には麦茶しかなかった。